初めてクラブに行ったら日本語の難しさを感じた


大学2年の秋、私は初めて「クラブ」に足を踏み入れた。

 

話には聞いていたが、私には敷居が高くベロベロに酔っ払らい、「外のキャッチから逃げられなくて仕方なくきましたよ」という顔をしながら千鳥足で入店するほかないと思っていたその時、友人のYとOが私を「クラブ」に誘ってきたのだ。

 

 


彼らは「クラブ」の経験者であり、今回は彼らに「クラブ」のイロハを教えてもらい、女の子と致すことを個人的な目標にし、当日を迎えた。

 

彼らに言わせれば、クラブでかますためには必ずやらなければならないことがあるらしい

 


彼らから享受された「クラブ」でぶちかませる方法

 


1、積極的に話しかける

2、

3、

4、

 

 

 

 

 


この一つの教えを胸に刻み込み、意気揚々とガチムチ黒人キャッチに引っかかった。

 


到着した時間は深夜12時、火曜日という中途半端な曜日ではあったがそこそこのお客さんで賑わっていた。


まずは「クラブ」経験者であるYとOが次々と女の子に声をかけて行く。あしらわれてはいるものの、次々と声をかけて行く彼らに私は小さな尊敬の念すら覚えていた。

 
そして十数分後、小柄な二人組を捕まえることに成功。彼女たちは私達の一つ年上であり、茨城からわざわざ六本木にやってきたらしい。(今後A子とB子と表記する)

 


YとOのおかげもあり会話は滞りなく進み、とても楽しい時間を過ごすことができたが、肝心なのはこの後である。なんとかしてパーリナイまで持ち込まなければならない。

 

その方法を模索している時、Yに肘を小突かれた。

 


Y 「お前A子ちゃんにアプローチしねぇなら俺が行くぞ?」

 


Yは男の私からみても整った顔立ちをしており、先に手を出されたら初手パーリナイをされるのは目に見えていた。そしてその一言はYなりの私へのエールだったのかもしれない。

 


私は意を決してA子に「ちょっと2人きりで飲まない?」と声をかけた。

 


A子は「うーん…  大丈夫!!」と答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


何がなのだろうか

 

何が大丈夫なのだろうか?

 

2人きりで飲むことへの同意なのかそれとも否定の意を込めた「大丈夫」なのだろうか

 


A子が席を立った時にYに大丈夫と言われたことを耳打ちをすると、彼は「じゃあ俺がもらうな!」と私に言い残し、フロアの隅へと移動していった。

 


30分後彼はA子とくちづけを交わしていた。

(Oは終始B子とちちくりあっていた)

 

 

 

 

 

 

その後は振り返りたくはない

 


「この場で騒いでる人は全員面白くない」と現実逃避してみたり。

 


「酔ってる女に手を出すなんてこの中の男は全員クソ外道だな」と硬派ぶってみたりと自分の自尊心を守るために必死になっていた。

 


朝五時、宴も終わりまだ薄暗い六本木の道を3人で帰っている時、「定期の駅から帰る」と彼らに伝え、一人で歩くことにした。

 


惨めとか悔しいとかそんな気持ちは湧いてこない。

 


Yに言われた「お前、女の子の肩の抱き方めちゃくちゃ気持ち悪いな」ただそれだけが頭の中を繰り返していた。